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デザイナーになるのに美大に行く必要はある?

takaco

今この記事に辿り着いた人は、「将来デザイナーになりたいけど、美大に行くべき?」「美大に行かないとデザイナーになれないのかな、、、?」職種を事務職からデザイナーに変えたいけど、美大に行かないとダメかな?
そのようなことに悩んでいるのでは無いでしょうか?

私は、高校から美大付属の学校に通いました。大学ではなく、当時は短大という2年制のものがあったので、卒業後は短大へ行きました。
私が通っていた私立の学校は美大附属で、中学、高校、短大、大学、大学院とあります。私立のエスカレーター校ですね。ここまでいうと、都内でそんな学校はあまり無いので、わかってしまうかもですが。

さて、「デザイナーになるのに美大に行く必要はあるか?」という、問いに対して、私の回答は「必要ない」です。誤解があると困るのですが、これは、美大に行かなくても、デザイナーになることはできますが、美大卒の人と、そうじゃない人で、就職や、その他の選択肢に違いが出るかと思います。ただ、「デザイナー」という職業は、資格を有するものではないので、美大を出る必要は無いと思います。

就職の書類審査で美大卒を見たか?

自分が採用に回った時に、デザイン職の人を採用する際に、履歴書で「美大卒」をチェックしたかについてですが、「チェックしました」。はい。
よく美大は「絵が上手い人がいく」イメージかも知れませんが、私を含め、きっと多くの人が普通の人です。美大附属の高校でさえ、絵を描くテストが入試でありました。そして、学校に入ったら、ぶっ飛ぶ位上手な人が沢山いました。毎回廊下に飾られる子。全体講評会でめちゃめちゃ褒められる人。
私は高校の入試でさえ、時間が取れれば、1日8時間は絵を描いて練習していました。もちろん毎日練習して描いているのは言うまでもなく。学校に入れば、普通校に比べて、美術の時間と課題が増える分、相当な分量を描いています。
そう、めちゃめちゃ描いているんですよ。高校でこれだから、大学なんて言ったら、相当描いて描いて描きまくっている。「絵が上手い」センスとか関係なくて、本当に「努力」の世界です。そんな入り口を突破して、最終的に卒業制作を行なって世に出てきているんです。学校生活では、さっきも書いた通り「上手い人」というのはいるんですよ。本当に、センスを超えていくような人。自分も地域じゃ上手い部類だったのかも知れませんが、自分の作品がちっぽけだったり、全然上手くなかったりするのを、嫌でも並べられるからわかるし、現実を突きつけられる感じです。それでも、進むしかなく、やり続けて、「卒業」まで辿りつく。その経験と馬力、絵をうまく描けるのは、「観察力」が鋭いからです。よく観察して、よく見てるから絵に描き起こせるんです。物事を見て、観察して、気づいて、整理してそして絵に表す。この深い行動の中から絵が生まれるのです。

少なくても、卒業していれば、これらの類が出来るなと思って、ポートフォリを見れるので、チェックします。最終的にポートフォリオで迷った時にも、美大を出ていると「基本デッサン」が出来るのがデフォなので、ちょっとしたイラストや、画像選びなど、応用力がきくので、幅広めにお願いできたりするかなと思えるのもプラスのポイントになりやすいかも。(イラストを頼んでも、人間の構造を知っている人とそうじゃない人では、キャラの腕の位置や、首の位置なども不自然じゃなく描いてくれる感じです)

それでも勝てる人材とは?

ここまで読むと必要ではないけど、あるに越したことは無い。
ただ、美大に行ってなくてもこういう人はいるんですよ。そう俗に言う「好きでやってる人」これに勝るものは無いと思っています。
私は凡人だから、美大のように「用意された環境」があったからこそ、続けたり、長時間絵を描くことが出来たと思っています。これを自分一人でやり抜くことは出来なかったと思います。それでも、世界には、オタクと言うか、それが好きで好きでたまらなくて、一日中ずっとそれをしている人間というのが存在します。こういう類の人はやはり美大など関係なくやりたいことを得ていくのだと思います。
正直私は、そっちの世界の人では無い。時々、そういうとてつもなく好きな事をしている人が羨ましくも思いますが、きっとそれはそれで、苦悩もあるものなのでしょう。

好きでやっている人は、どんどんコンペに参加したり、どこかで展覧会沢山開いたり、行動的な人が多いかなと思います。ポートフォリはやはりクオリティーも高め。だって好きだし、かけてる時間も段違い。加えて自分の世界観みたいなのも持っている人が多い気がしますします。

でも、正直、就職でこういう類の人の応募を見るのは稀ですね。
中途採用の場合、即戦力を取ることがほとんどだと思うので、それでいうと、美大卒とかは見なくても、「職務経歴書」を見るので、結局そこでそれなりの経験を積んでいる人になると、どんどん元を辿れば行き着く元は同じなのかなと。

なくてもいいけど、あって不利じゃない

なくても良いけど、あってマイナイスになることはない。むしろ、何かの時に助けになるかも知れない。それくらいでしょうか。

あとは、自分が「どういうタイプ」かを知る事が大事だと思います。
好きなことを突き詰めて、自分でどんどん作業が出来るタイプなのか、私みたいに、好きだけど、そこまで熱量高くないから、環境を作ってそこにいる方が動けるみたいなタイプと。

最後に大事なのは、「どんなデザイナーになりたいか」。
正直、広告代理店のクリエイティブ部門行きたいとか、メーカーの制作部門に行きたいってなると、美大は行っておかないと相当厳しいと思う。制作するものの規模だったり、働く先の企業の規模感で大分違いがあるかなと思う。

私は正直、行って良かったと思っている。デザイナーになりたくて行った訳でもないし、すごい情熱がある感じではなかったのに。だ。
でも、学校では、本当に上手な人、努力していつも描いている人がいたり、授業に「西洋美術史」などの美術の歴史を学ぶ時間など、「絵を描く」こと以外にも美術にまつわる多くのことを学んだ。そして、一緒に学んだ人達がとてもクリエイティブティで、面白くて、一緒にいるだけで刺激的だった。

結局高校生のこの頃の経験は今の私の土台にあるのは間違いなく、この時に「(課題提出の)納期死守しろ」と教え込まれたのがのちにすごく助けにもなった。

現在は、昔より、より手軽に制作を楽しむ事が出来るようになっているし、多くの人が手を出しやすい分野であるのは確かだと思う。それは、悪いことではなく、むしろ歓迎すべき点で、より面白いものが生まれてくるのだろうと思う。
その反面、「似てる」とか「AIでも出来る」と言ったことなど、より淘汰された世界ができていくのかも知れない。上っ面だけでなんでもやろうとする事が多い世の中に感じるが、結局、本質は、「その人自身」なのだと思う。それを作るにしても、自分がどうありたいかを常に考え、答えを持っておくのが大切かなと思いました。

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